東京高等裁判所 昭和26年(ネ)374号 判決
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〔事実〕控訴人は昭和二十五年二月十四日附金額二百五十万円の約束手形一通を訴外株式会社宇和島造船所宛に振出し、右手形は株式会社宇和島造船所東京出張所長中村省三より訴外岡田春一に、右岡田より被控訴人に順次白地式裏書によつて讓渡せられている。被控訴人の控訴人に対する右手形金の請求に対し控訴人は裏書連続欠缺の抗弁を提出して次の通り主張する。即ち、株式会社が手形行為をなす場合には、その代表者もしくはその代理人によつてなされなければならない。しかるに、本件においては右手形の第一の裏書は東京都豊島区高田本町二の二五株式会社宇和島造船所東京出張所所長中村省三によつてなされたものであるが、同会社は東京出張所を設けたことなく、したがつてまた右中村省三を東京出張所長に任命したこともない。右は全く同人において資格を詐称して不正に自己の利益を図らんとしたものであつて、訴外宇和島造船所の代表者でもまた代理人でもないから、右裏書は手形受取人たる右宇和島造船所の裏書といいがたく、その間に裏書連続の欠缺があるから、その後の裏書による手形取得者たる被控訴人は適法な所持人ということができないと。原審被控訴人の勝。
〔判斷〕控訴棄却。右裏書連続欠缺の抗弁に対する判示は次の通りである。
手形裏書の連続があるかどうかは、手形上の記載自体について形式的に判断すべきものであつて、その具体的内容によつて判断すべきものでないことはいうまでもない。本件手形の受取人名義が株式会社宇和島造船所となつており、第一の裏書人として株式会社宇和島造船所東京出張所所長中村省三と記載せられていることは前述のとおりであつて、会社の出張所が独立の法人格を有していないこは勿論のことであるから、株式会社宇和島造船所東京出張所なる名称は株式会社宇和島造船所を表示したものと解するを相当とする。そして株式会社の手形行為はその代表者たる取締役もしくはその代理入によつてなさるべきものであるところ同会社の東京出張所長は当然会社を代表すべき権限あるものといいえないから右裏書は訴外中村が同会社の代理人たることを表示してこれをなしたものと解するのを相当とする。そうだとすれば本件手形の受取人と第一の裏書人との間には何ら連続の欠缺はない。